少子高齢化が進む日本では、賃貸物件に入居する高齢者も増えています。
もし、入居者が認知症になってしまうと、さまざまなトラブルのリスクがあります。
今回は賃貸経営をされている方に向けて、認知症の入居者が引き起こすトラブルや賃貸借契約などの対応についてお伝えします。
賃貸物件の入居者が認知症になったときのトラブルとは?
認知症とは、特定の病名ではなく、何らかの疾患が原因となって脳の認知機能が衰えることです。
老化による物忘れとは異なり、記憶障害や時間・場所の混乱、理解力・判断力の低下などが起こります。
賃貸物件の入居者が認知症になってしまうと、判断力の衰えによる家賃滞納やゴミ屋敷化などのトラブルのリスクがあります。
さらに、身の回りのことができなくなることで安全上のリスクもあり、転倒などの住居内の事故や、火の消し忘れによる火災の恐れもあります。
そのほかにも、認知機能の低下は、近隣住民とのトラブルも引き起こす可能性があります。
同じ賃貸物件の住民の生活を脅かすようなことがあれば、住民の退去や空室リスクにもつながるでしょう。
入居者が認知症になった場合に賃貸借契約はどうなるのか
家賃滞納などのトラブルが発生したときには、認知症の入居者に退去を求めることはできるのでしょうか。
基本的に、認知症であるという理由だけでは、退去や契約解除を求めることはできません。
解約をお願いすることも、裁判所に訴えることも難しいため、現実的な解決法として、親族を通じて成年後見人を立ててもらう方法があります。
親族と連絡がつかないときは、各自治体の相談窓口で成年後見制度について問い合わせてみましょう。
賃貸物件の入居者が認知症になったときのトラブル対応
賃貸経営をしていくうえで、認知症が原因となるトラブルには、どのように対応していけば良いのでしょうか。
まず、入居者の連帯保証人との協力関係が重要になります。
こまめに連絡を取ることで、家賃滞納などのトラブルが発生したときに素早い対応をお願いできるでしょう。
もし、連帯保証人の協力が得られないようであれば、手続きに時間がかかる法定後見人を申し立てることになってしまいます。
そのほかには、一人暮らしの高齢者の生活を見守る、見守りサービスを導入する方法もあります。
訪問型やセンサー型などさまざまなサービスがありますが、機械を設置するのみであれば数千円から導入できます。
まとめ
今回は賃貸経営をされている方に向けて、認知症の入居者が引き起こすトラブルや賃貸借契約などの対応についてお伝えしました。
高齢化が進む社会では、近い将来一人暮らしの高齢者がどんどん増加していくと考えられます。
もしものトラブルに備えて、見守りサービスを導入するなどのリスクヘッジをしていきましょう。